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専門家に聞く:CROS(クロス)補聴システムは片耳難聴に適しているのか?

片方の耳が聞こえにくいと、音の方向が分かりにくかったり、聞こえにくい側から話しかけられたときに、会話を聞き取りにくかったりすることがあります。 CROS(クロス)補聴システムは、聞こえにくい側から入った音を、聞こえる側の耳へ届けることで、こうした聞き取りをサポートする仕組みです。 この記事では、CROS補聴システムの仕組みや特徴、どのような方に適しているのかを分かりやすく解説します。
公開済み 2026-08-19,
更新 2026-08-19
読むのに要する時間 2
補聴器
CROS補聴器を着けて友人と食事

Q:片耳難聴とは何ですか?

片耳難聴とは、片方の耳だけに起こる難聴のことをいいます。もう一方の耳が正常、または正常に近い聴力であっても、日常生活のさまざまな場面で聞き取りにくさを感じることがあります。

例えば、

  • 音がどこから聞こえているのか分かりにくい
  • レストランなど騒がしい場所で会話を聞き取りにくい
  • 聞こえにくい側から話しかけられると気付きにくい

といったことがあります。

Get the sound from your phone directly into your hearing aids
片耳しか聞こえなくても、バランスの取れたスムーズなコミュニケーションは可能です。

私たちは通常、左右両方の耳から届く音の情報を使って、音の方向や周囲の状況を把握しています。

しかし、片耳が聞こえにくい場合、頭が音を遮る「頭部陰影効果¹」によって、聞こえにくい側からの音が、聞こえる側の耳まで届きにくくなることがあります。片耳難聴の原因はさまざまで、突発性難聴や感染症、頭部外傷、聴神経に関わる疾患などによって起こる場合があります²。

CROS補聴システムは、聞こえにくい側から入った音を反対側の耳へ届けることで、片耳難聴による聞き取りをサポートする補聴システムです。

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Q:CROS補聴システムの仕組みは?

A:CROSはContralateral Routing of Signal の略称です。

特に片耳難聴の方のために設計されたもので、次の2つの機器をセットで使用します。


  • 1. 聞こえにくい側の耳に装着する「CROS送信器」

    聞こえにくい側の耳に装着します。CROS送信器のマイクが周囲の音を拾い、その音声信号をワイヤレスで反対側の補聴器へ送ります。
  • 2.• 聞こえる側の耳に装着する「受信器となる補聴器」

    聞こえる側の耳に補聴器を装着します。聞こえにくい側で拾った音が補聴器に送られるため、聞こえにくい側から話しかけられた場合でも、聞こえる側の耳で音を聞くことができます。

機種によっては、スマートフォンやテレビ用アクセサリーなどとの接続に対応しているものもあります。

CROS補聴器を着けると、家族みんなで一緒にテレビを見ることができます
聞こえにくい側からの音を聞こえる側の耳へ届けることで、家族との会話など、日常生活での聞き取りをサポートします。

Q:CROS補聴システムはどのような人に適していますか?

A:CROS補聴システムは、一般的に次のような方が対象となります。
  • • 片方の耳の聴力が正常、または正常に近い
  • • もう片方の耳の聴力が著しく低下している、または補聴器を装用しても十分な効果が期待しにくい
シルバーカラーのSignia Cros Pure Carge&Go。
CROS補聴器は、見た目は一般的な補聴器と同じです。

CROS補聴システムは、一般的な補聴器と同じように耳に装着して使用します。

ただし、両方の耳のきこえが低下している場合は、通常の補聴器やBiCROS(バイクロス)が適していることもあります。

どの方法が適しているかは、左右それぞれの聴力や難聴の状態などによって異なります。

まずは耳鼻咽喉科を受診し、専門医に相談することをおすすめします。

Q:CROS補聴システムのメリットとデメリットを教えてください。

A: CROS補聴器のメリットとデメリットをわかりやすくご説明します。

メリット

  • 聞こえにくい側からの音に気付きやすくなる

  • 聞こえにくい側から話しかけられたときに、会話を聞き取りやすくなる場合がある

  • 聞こえる耳を常に相手側へ向ける負担を軽減できる場合がある

  • 小型で目立ちにくい機種もある

  • スマートフォンなどと連携できる機種もある

考えられるデメリット

  • 新しい聞こえ方に慣れるまで時間がかかることがある

  • ワイヤレス通信を使用するため、電池や充電の消費が大きくなる場合がある

  • 左右それぞれの耳で音を聞く状態を再現するものではない

  • 騒がしい環境などでは、効果の感じ方に個人差がある

Q:CROSとBiCROSの違いは何ですか?

A:聞こえる側の耳にも難聴があるかの違いです。

CROS(クロス)

  • 片方の耳は正常、または正常に近い聴力
  • もう片方の耳は聴力が著しく低下している、または補聴器による効果が期待しにくい

聞こえにくい側のCROS送信器が拾った音を、聞こえる側の耳に装着した補聴器へ送ります。

 

BiCROS(バイクロス)

  • 片方の耳は聴力が著しく低下している、または補聴器による効果が期待しにくい
  • 反対側の耳にも難聴がある

聞こえにくい側のCROS送信器から送られてくる音と、補聴器を装着している側の音の両方を、その方のきこえに合わせて増幅・音声処理します。

 

どちらが適しているかは、左右それぞれの聴力などを確認したうえで判断します。

Q:CROS補聴システムで聴力は回復しますか?

A: いいえ。CROSは聴力そのものを回復させるものではありません。

聞こえにくい側から入った音を聞こえる耳へ届けることで、片耳難聴による聞き取りの負担を軽減することを目的としています。

そのため、会話や日常生活での聞き取りがしやすくなる場合がありますが、効果には個人差があります。

Wearing hearing aids when you are out with a best friend
CROS補聴システムは、聞こえにくい側から話しかけられたときの会話の聞き取りをサポートします。

Q:CROS補聴器が自分に合っているかは、どのように判断できますか?

A:例えば、次のようなことで困っている場合は、CROS補聴システムが選択肢のひとつになることがあります。

  • いつも同じ側からの会話を聞き逃してしまう
  • 聞こえる耳を相手に向けないと会話しづらい
  • 聞こえにくい側にいる人との会話が聞き取りにくい

ただし、CROS補聴システムが適しているかどうかは、左右の聴力や難聴の状態、生活環境などによって異なります。

まずは耳鼻咽喉科で難聴の原因や状態を確認し、そのうえで補聴器専門店などで相談することが大切です。

Q:片耳だけで聞いていても問題ないのでしょうか?

A:私たちは通常、左右両方の耳から入る音を使って、音の方向や距離、周囲の状況を把握しています。

そのため片耳だけで聞いていると、

  • 音の方向が分かりにくい
  • 会話を聞き逃しやすい
  • 周囲の状況を把握しにくい

と感じることがあります。

Enhance your outdoor adventures, fully engaged in activities like hiking, knowing that every sound is vivid and crystal clear with the help of hearing aids.
聞こえにくい側からの音に気付きやすくなることで、会話や周囲の音を聞き取りやすくなる場合があります。
また、片耳難聴の方を対象とした研究4では、CROSによって聞こえにくい側からの音情報を活用できるようになり、コミュニケーションの負担軽減につながる可能性が報告されています⁴。

まずはご自身のきこえを確認してみませんか?

「片耳だけ聞こえにくい」「いつも同じ側からの会話を聞き逃す」と感じている方は、一度ご相談ください。
出典

1 Otology & Neurotology:A comparison between wireless CROS and bone-anchored hearing devices for single-sided deafness: a pilot study (June 2015): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25853611/ 

2 Acta Oto-Laryngologica:Etiology of single-sided deafness and asymmetrical hearing loss (April 2017): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28366032/ 

3 European Archives of Oto-Rhino-Laryngology:Clinical effectiveness of wireless CROS (contralateral routing of offside signals) hearing aids (September 2015): https://link.springer.com/article/10.1007/s00405-014-3133-0 

4 Journal of Neurological Surgery Part B Skull Base:Nonsurgical Management of Single-Sided Deafness:Contralateral Routing of Signal (April 2019): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6438788/

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