「最近、会話がうまく噛み合わない気がする」 「テレビの音が大きすぎるけれど、どう切り出せばいいのかわからない」
ご家族や親御さんのきこえについて、そんな小さな違和感を抱えながら、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
”年齢のせいかもしれない”、”本人が困っていなければ大丈夫なのかな”と迷ったり、どうすればいいのか分からず不安になるのは、とても自然なことです。
きこえの変化は突然起こることは少なく、多くの場合ゆっくり進んでいきます。
そのため、変化に気づくのは、配偶者やお子さま、友人、同僚といった身近な存在であることがよくあります。
たとえば、
こうした様子が見られたら、聴力が以前より低下している可能性があります。
きこえの変化に気づかないまま放置すると、コミュニケーションが負担になったり、社会との関わりが減ってしまうなど、長期的に大きな影響が出ることがあります。
一方で、補聴器を適切に使うことで、社会的・感情的・身体的な健康面が改善するという研究結果もあります。*
だからこそ、難聴のサインを知り、早めに気づくことが大切です。
* 詳しくは厚生労働省研究班の報告をご覧ください。
参考:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/4470
会話が聞き取りにくい、何度も聞き返す、テレビの音量が大きくなる――これらはよく見られる難聴のサインです。
包帯や見えるケガのように見た目でわかるものではないため、家族も本人も気づきにくいことがあります。
以下の7つのサインを参考に、大切な人のきこえの変化に注意してみましょう。
難聴を抱える人は、特に騒がしい場所での会話を聞き取るために集中力を使います。そのため、聞くこと自体が疲れてしまう=「リスニング・ファティーグ(聞くことへの疲労)」が起こることがあります。
例えば、渋谷のスクランブル交差点で重要な会議に参加すると想像してみてください。ぐったりと疲れるイメージが湧きますでしょうか?
その結果、会話がストレスになったり、人と話すことを避けてしまうこともあります。
「もう一度言ってくれる?」とよく言われるようになった場合、聞こえづらくなっている可能性があります。
ゆっくり話したり、短く区切って伝えるなどの小さな工夫で、もっと心地よく会話になります。
最近、家族との電話での会話が難しくなってきていると感じていませんか?
電話は表情や口の動きが見えないため、聞き取りが難しく感じやすいコミュニケーション手段です。 雑音や音質の影響も受けやすく、会話についていくのがさらに大変になることもあります。
そんなときは、忍耐強く話を聞く、優しく話し、相手の気持ちをくんであげることが大切です。
今まで声をかけると反応していたのに、いつの間にか声をかけても気づかれないことが続く場合、きこえの変化が影響していることもあります。
近くで話しかけるなど、ちょっとした工夫で家族のコミュニケーションがぐっと楽になります。
複数人が同時に話す場面や環境音が多い場所では、聞き取りがさらに難しくなります。
もし大切な人が会話についていけない様子が見られる場合、きこえのチェックを勧めるタイミングかもしれません。
きこえづらさをそのままにしておくと、日常生活や家族関係にさまざまな影響が出ることがあります。
会話の負担が増える
聞き取りにくい状態が続くと、相手の話を理解するためにより多くのエネルギーが必要となり、会話自体が疲れの原因になってしまいます。
人との関わりが減り、孤立につながる
会話がストレスに感じると、外出や交流を避けるようになり、結果として孤立を招くことがあります。
家族のストレスが増える
聞き返しの多さ、音量の違いなど、日常のすれ違いが増え、家族も負担を感じることがあります。
加齢による変化は、耳の機能だけでなく、音を脳に伝える神経の働きにも影響すると考えられています。
さらに、長年の騒音、耳鳴り、耳あかの蓄積、持病など、さまざまな要因が聞こえに影響することがあります。
親世代の方は「年齢のせい」と思って相談を控えることもあります。 聞こえづらさが続くと疲れやすくなり、外出や会話が負担になる場合もあります。
ご両親が安心して向き合えるよう、そっと寄り添いながら声をかけてあげることが大切です。
家族が今日からできる小さなサポート
大切な家族のきこえに気になるサインがある場合は、 まず耳鼻咽喉科で状態を確認してみることをおすすめします。
「少し聞き返しが増えたかも?」と感じたタイミングで受診することで、 ご本人もご家族も、安心して次のステップを考えられるようになります。