ためらいを理解する
補聴器を使えば会話がしやすくなり、家族や友人とのつながりも深まるはずなのに、パートナーがなかなか前向きになってくれない――そんな悩みを抱えるご家族は少なくありません。
実は、補聴器への抵抗感の理由が聴力そのものにあるケースはそれほど多くありません。背景には、自分自身の変化を受け入れることへの戸惑いなど、さまざまな感情が隠れていることがあります。
パートナーが補聴器の使用に抵抗を感じる背景には、次のような理由が考えられます。
補聴器に対して、「高齢になった人が使うもの」「まだ自分には必要ないもの」といったイメージを持っている方もいます。
研究¹では、補聴器を使うかどうかを考える際、補聴器そのものへの抵抗だけでなく、「 自分らしさが失われてしまうのではないか 」という不安や周囲の目を気にする気持ちが、ご本人とパートナーの両方に影響を与えることが分かっています。
パートナーは、 自分のきこえの変化を軽く考えていることがあります。 「まだ補聴器は必要ない」「聞こえないのは周囲の話し方のせいだ」と感じていることもあります。
難聴はゆっくり進行することが多いため、ご本人が変化に気づきにくいことも少なくありません。
そのため、難聴であることを認めたくない気持ちや、受け入れる心の準備がまだできていない可能性があります。
きこえの変化をすぐに受け入れられないのは自然なことです。気持ちに寄り添いながら話し合うことで、ご本人が前向きな一歩を踏み出しやすくなります。
コミュニケーションの工夫
パートナーの「聞こえていないこと」に注目するのではなく、きこえの変化がお二人のコミュニケーションにどのような影響を与えているのかを、一緒に考えてみましょう。
そうすることで、「どちらか一人だけの問題」ではなく、「二人で取り組むこと」として捉えやすくなります。
具体的な場面を伝えましょう。
「一緒に映画を見ているとき、テレビの音量を何度も上げていたね」のように、事実をやさしく伝えることが大切です。
パートナーのための実践的な次のステップ
きこえのチェックや相談は、気軽に踏み出せる最初の一歩です。
補聴器専門店での相談は、すぐに補聴器を購入するための場ではありません。現在のきこえの状態を知り、必要な情報を集める機会として活用しましょう。
行動を起こすことをためらっている方は、何から始めればよいかわからず不安を感じていることがあります。
どんなことを相談したいか一緒に整理し、日常生活で気になった場面を共有することで、きこえについて客観的に考えるきっかけになります。