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パートナーが補聴器を拒むとき|夫婦でできるコミュニケーションの工夫

「何度も聞き返される」「テレビの音が大きい」「会話がかみ合わない」──そんな状況が続くと、夫婦の間にストレスが生まれることがあります。しかし、補聴器を無理に勧めるだけでは、かえって距離ができてしまうこともあります。 この記事では、パートナーの気持ちに寄り添いながら、二人で協力してコミュニケーションを改善するための方法をご紹介します。
公開済み 2026-06-29,
更新 2026-06-29
読むのに要する時間 3
補聴器
難聴になった配偶者を支える方法

ためらいを理解する

パートナーが補聴器の使用に抵抗を感じる理由

補聴器を使えば会話がしやすくなり、家族や友人とのつながりも深まるはずなのに、パートナーがなかなか前向きになってくれない――そんな悩みを抱えるご家族は少なくありません。

実は、補聴器への抵抗感の理由が聴力そのものにあるケースはそれほど多くありません。背景には、自分自身の変化を受け入れることへの戸惑いなど、さまざまな感情が隠れていることがあります。

パートナーが補聴器の使用に抵抗を感じる背景には、次のような理由が考えられます。

偏見(スティグマ)と誤解

補聴器に対して、「高齢になった人が使うもの」「まだ自分には必要ないもの」といったイメージを持っている方もいます。

研究¹では、補聴器を使うかどうかを考える際、補聴器そのものへの抵抗だけでなく、「 自分らしさが失われてしまうのではないか 」という不安や周囲の目を気にする気持ちが、ご本人とパートナーの両方に影響を与えることが分かっています。

聴覚の健康について率直な会話をしているカップル
率直な会話が、補聴器への偏見を和らげ、ご本人が前向きな一歩を踏み出すきっかけになります。

お互いの関係の緊張

コミュニケーションがうまくいかない状態が続くと、二人の間にストレスや緊張が生まれ、お互いに気持ちを伝えにくくなることがあります。
Engage in heartfelt conversations with loved ones, fully immersed in the emotions and connections made clearer by hearing aids
お互いの気持ちに目を向けることが、二人で解決策を見つける第一歩になります。

難聴の否定

パートナーは、 自分のきこえの変化を軽く考えていることがあります。 「まだ補聴器は必要ない」「聞こえないのは周囲の話し方のせいだ」と感じていることもあります。

難聴はゆっくり進行することが多いため、ご本人が変化に気づきにくいことも少なくありません。

そのため、難聴であることを認めたくない気持ちや、受け入れる心の準備がまだできていない可能性があります。

聴力の低下を受け入れるのに時間がかかる場合もあります。

きこえの変化をすぐに受け入れられないのは自然なことです。気持ちに寄り添いながら話し合うことで、ご本人が前向きな一歩を踏み出しやすくなります。

コミュニケーションの工夫

伝え方を工夫して、前向きな対話へ

直接伝えてもうまくいかなかった場合は、伝え方を少し変えてみましょう。焦らず向き合うことで、前向きな対話につながることがあります。

ステップ1:聴力のことではなく、お互いの関係について話す

パートナーの「聞こえていないこと」に注目するのではなく、きこえの変化がお二人のコミュニケーションにどのような影響を与えているのかを、一緒に考えてみましょう。

そうすることで、「どちらか一人だけの問題」ではなく、「二人で取り組むこと」として捉えやすくなります。

  • 気づいたことを伝える

    具体的な場面を伝えましょう。

    「一緒に映画を見ているとき、テレビの音量を何度も上げていたね」のように、事実をやさしく伝えることが大切です。

  • 努力に目を向ける

    聞き取ろうと努力を続けることは、、想像以上に疲れにつながることがあります。相手の頑張りを認めながら、その負担にも目を向けてみましょう。
  • 前向きな変化を伝える

    きこえへの対策によって、会話がしやすくなる、人とのつながりが深まる、外出を楽しめるようになるなど、前向きな変化について一緒に話してみましょう。
聴力ケアについての話し合いは、相手をいたわり、分かり合うところから始めましょう。
思いやりを持って寄り添うことが、前向きな対話への第一歩になります。

ステップ2:感情面への影響を理解する

きこえの変化によって、不安や落ち込みを感じている可能性があります。その気持ちに寄り添いながら接することで、安心して話し合える関係につながります。
  • 相手の意志を尊重する

    補聴器を使うかどうかを決めるのは、ご本人です。決断を急がせるのではなく、「必要だと感じたら、いつでもサポートするよ」と伝えましょう。
  • 不安な気持ちに寄り添う

    「周りの人にどう思われるか不安なのは分かるよ。でも、聞こえやすくなって会話や外出を楽しめることの方が大切だと思うよ。」と、相手の気持ちを受け止めながら、自分の思いを伝えましょう。
聴力が低下した相手の気持ちを思いやることで、相手はプレッシャーなく、理解され、尊重され、サポートされていると感じることができます
相手の気持ちに寄り添うことが、安心して話し合える関係づくりにつながります。

ステップ3:2人でコミュニケーションを工夫する

研究¹では、難聴への適応には夫婦で協力しながらコミュニケーションを工夫することが大切だとされています。二人で一緒に、無理なく続けられる工夫を見つけていきましょう。
  • コミュニケーションのルールを決める

    話すときは相手の顔を見て話す、重要な話はテレビを消して行う、聞き取れなかったときは言葉を言い換えるなど、二人で話しやすいルールを決めましょう。
  • 二人で環境を整える

    聞き取りづらさを本人だけの問題にせず、静かな場所を選んだり、話し方を工夫したりしながら、夫婦で一緒にコミュニケーションしやすい環境を整えましょう。
一緒に対処することで、お互いにコミュニケーションが楽になります
二人で協力しながら取り組むことが、お互いの安心感と自信につながります。

パートナーのための実践的な次のステップ

専門家への相談をサポートするために

パートナーが「きこえについて相談してみようかな」と思えるようになったら、ご家族のサポートが大切です。一緒に相談へ行くことで、不安が和らぎ、安心して専門家に相談しやすくなります。

パートナーのきこえのチェックに同席する

きこえのチェックや相談は、気軽に踏み出せる最初の一歩です。

補聴器専門店での相談は、すぐに補聴器を購入するための場ではありません。現在のきこえの状態を知り、必要な情報を集める機会として活用しましょう。

次のようなサポートもおすすめです。
  • 自分も一緒に相談すると伝える

    自分のきこえも一緒に確認することで、難聴を個人の問題ではなく、健康管理の一つとして考えやすくなります。
  • 相手はプロであることを強調する

    補聴器専門店のスタッフは、きこえに関する相談や情報提供を行う専門家であり、無理に補聴器を勧めるためにいるわけではないことを伝えましょう。
  • 付き添いを約束する

    相談には一緒に行き、説明を聞いたり質問したりしながらサポートすることを伝えましょう。
聴力の改善を示しながら、一緒に微笑むカップル。
一緒に相談へ行くことが、不安を和らげ、安心して一歩を踏み出す力になります。

情報収集を手伝う

行動を起こすことをためらっている方は、何から始めればよいかわからず不安を感じていることがあります。

どんなことを相談したいか一緒に整理し、日常生活で気になった場面を共有することで、きこえについて客観的に考えるきっかけになります。

次のようなことを試してみてください。
  • 実際の生活の中での具体的な例を挙げる

    インターホンに気づかなかった、会話を聞き返すことが増えたなど、きこえが気になった場面をメモしておくと、相談の際にも役立ちます。
  • 何が一番大切なのかを考えるきっかけを作る

    「以前のように聞こえるようになったら、何を一番楽しみたい?」と聞いてみましょう。その答えが行動のきっかけになることがあります。
聴力の低下に対するサポートは、相手を理解することから始まります
お互いの考えを伝え合うことで、聴力の低下についても話しやすくなります。

前向きな気持ちを保ち、行動を後押しする

パートナーが改善に向けて行動しようと思えたら、その気持ちを温かく支えてあげましょう。 大きな変化を求めるのではなく、一歩ずつ前に進めるよう見守ることが大切です。
ぜひ次のことを意識してみてください。
  • 決断をほめる

    きこえの悩みに向き合おうとした勇気を認め、「相談してみてよかったね」と前向きな言葉をかけましょう。
  • 前向きな変化に目を向ける

    会話がしやすくなった、人との交流を楽しめるようになったなど、小さな変化でも一緒に喜びましょう。
  • 体験談を参考にする

    補聴器を使用している友人や知人がいれば、実際の経験を聞いてみるのもよいでしょう。身近な人の話は安心感につながることがあります。
前向きなサポートによって、聴力の低下への対処が前進します。
ご家族の前向きなサポートが、安心して聞こえと向き合う力になります。

ご家族の聞こえが気になったら、まずはご相談ください

補聴器のことやきこえのお悩みについて、専門スタッフが丁寧にご相談をお受けします。まずはお気軽にお近くの店舗へ。
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参考資料

1 International Journal of Audiology:‘Coping together with hearing loss: a qualitative meta-synthesis of the psychosocial experiences of people with hearing loss and their communication partners,’ (2017): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28599604/ 

2 Healthy Hearing:The impact of hearing loss on relationships: https://www.healthyhearing.com/report/52619-The-impact-of-hearing-loss-on-relationships 

3 Scarinci, N., Waite, M., Nickbakht, M., Ekberg, K., Timmer, B., Meyer, C., & Hickson, L.(2025).How do adults with hearing loss, family members, and hearing care professionals respond to the stigma of hearing loss and hearing aids?.International Journal of Audiology, 64(sup1), S20-S27. 

4 Ritchie, J. P.(2017).Facilitators and barriers to communication partner involvement in audiological rehabilitation. 

5 Scarinci, N., Worrall, L., & Hickson, L.(2008).The effect of hearing impairment in older people on the spouse.International journal of audiology, 47(3), 141-151.

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