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専門家に聞く:補聴器は認知症リスクの低減につながる?

加齢とともに起こる「加齢性難聴」は、多くの方が経験する身近なきこえの変化です。近年では、難聴と認知症との関連についても研究が進められています。早い段階で補聴器を活用することで、認知機能の維持をサポートできる可能性も報告されています。
公開済み 2026-07-01,
更新 2026-07-01
読むのに要する時間 3
補聴器きこえの健康
眼鏡をかけて座っている男性が、聴力の低下を振り返っている。

Q:難聴と認知症にはどのような関係がありますか?

A研究により、難聴がある人は、聴力が正常な人と比べて認知機能の低下や認知症のリスクが高い傾向があることが報告されています¹。

聴力が低下したすべての人が認知症を発症するわけではありませんが、特に難聴を放置しておくとリスクが高くなります。

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Q:なぜ難聴が脳に影響を与えるのでしょうか?

A 専門家は、聴力の変化が脳の健康に影響を与える理由は、主に次の3つであると考えています。
聴力の改善により会話を楽しんでいる友人と話しているカップル。

1.余分な脳の負担

聴力に問題があると、脳は聞き取れなかった言葉や音を補うためにいつも以上に働かなければなりません。

こうした余分な負担によって、本来なら記憶力や思考力を支えるはずのエネルギーが消費されてしまうのです

Making phone calls is made much easier with the use of hearing aids

2.脳の変化

聴覚刺激が減少することで、脳の一部の活動に変化が生じる可能性があると考えられています²。
Stay socially connected and enjoy memorable conversations with friends at your favorite cafe, thanks to hearing aids.

3.社会的なつながりの減少

聴力が低下してくると、会話が疲れるものになったり、思うようにいかずイライラしたりして、人付き合いをやめてしまう人が少なくありません。社会的な交流が減ると、孤独感が増し、精神的な刺激も少なくなります。これはどちらも認知症と関連しています²。

逆に、社会とのつながりを保ち積極的に人と関わることは、脳の健康を守る最も大きな要素の1つです。

Q:補聴器は認知症の予防に役立つのでしょうか?

A補聴器が認知症を予防することは証明されていません。

しかし近年の研究では、難聴に適切に対処することが、認知機能の維持や認知症リスクの低減につながる可能性が示されています3

きこえを補うことで、会話や社会活動への参加を支え、結果として脳への刺激を維持しやすくなると考えられています。楽に聞こえるようになると、脳は注意力や記憶力、思考力のほうに、より多くのエネルギーを回すことができます⁴。

研究では、補聴器の使用によって脳活動に変化がみられたことも報告されています⁵。

Q:きこえづらさにきちんと向き合わないと、どうなるのでしょうか?

A:難聴を放置すると、コミュニケーションの機会が減少し、認知機能の低下や認知症リスクの上昇につながる可能性が指摘されています⁶。

難聴の放置は社会的な孤立やうつ病と関連しており、これらはいずれも認知症のリスクを高める要因として知られています4

座っている幸せな女性が補聴器を紹介している。
早めにきこえと向き合うことが、これからの生活や認知機能を守る第一歩につながります。

研究によると、軽度・中等度・重度の難聴がある人で、特に45歳から65歳の人は、思考力や記憶力の低下、および認知症のリスクが、それぞれ2倍から5倍になることが分かっています4

そのため、早い段階で対策を始めることが、将来的に大きな違いをもたらします。

Q:補聴器はいつ購入すべきですか?

A:難聴が悪化するまで放っておくのは良くありません。

次のようなことに心当たりがあれば、補聴器の使用を検討してください。

  • 特に騒がしい場所で、会話についていきにくい

  • テレビやラジオの音量を上げないと聞き取りにくい

  • 家族や友人から「聞き逃しが多い」「同じことを何度も聞き返す」と言われる

  • きこえづらさが人間関係や日常生活に影響を及ぼしている

補聴器はきこえを補い、会話や日常生活への参加をサポートする機器です。早い段階から活用することで、社会とのつながりや生活の質の維持につながる可能性があります

Q:補聴器は記憶力や集中力をサポートしますか?

A:補聴器を使用している方からは、「集中しやすくなった」「以前より疲れにくくなった」「会話がしやすくなった」といった声も聞かれます⁷。

聞き取るために必要な脳の労力が減り、より多くのエネルギーを記憶、注意、理解に回せるようになるのです。

カジュアルなディナーシーンで補聴器を装用したカップル。
きこえへの早めの対応は、会話や趣味、人とのつながりを楽しみ続けることにつながります。

きこえと健康を守るために

聴力に変化を感じたら、早い段階で対処することが大切です。さらに次のことも実践しましょう。
  • 定期的にきこえのチェックを受ける

  • 聴力に変化を感じたら、すぐに対処する

  • 人とのつながりを保つ

  • 健康に気を配る:睡眠や運動、血圧は脳の働きに影響します

きこえに不安を感じたら

早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要に応じて補聴器専門店で相談することが大切です。

出典

1 Alzheimer’s Disease & Associated Disorders:‘Age-related Hearing Loss and Dementia’, (2019): https://doi.org/10.1097/WAD.0000000000000325 

2 PLoS One:Hearing loss and cognition: the role of hearing AIDS, social isolation and depression, (2015) https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0119616 

3 Archives of Neurology:‘Hearing loss and incident dementia’, (2011): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21320988/

4 Frontiers in Dementia:‘Hearing loss and its link to cognitive impairment and dementia’, (2023): https://doi.org/10.3389/frdem.2023.1199319

5 Frontiers in Neuroscience:‘Cortical neuroplasticity and cognitive function in early-stage hearing loss: evidence of neurocognitive benefit from hearing aid use,’ (2020): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7040174/

6 Journal of Clinical Medicine:‘Mental fatigue in patients with hearing loss and/or tinnitus undergoing audiological rehabilitation:A pilot study’ (2023): https://www.mdpi.com/2077-0383/12/21/6756

7 Trends in Hearing:‘Hearing aids reduce daily-life fatigue and increase social activity: a longitudinal study’ (2021): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34747674/ 

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